採用活動では、求人を出すことや応募者を集めることに目が向きがちです。
もちろん、まず求人を知ってもらわなければ採用は始まりません。ただ、求職者の立場で考えると、求人を見つけたあとにもう一つ大きな問題があります。
「この会社に応募して大丈夫なのか」を判断するための情報が足りないことです。
給与、勤務地、勤務時間、休日、仕事内容。
求人票には基本的な条件が書かれています。しかし、実際に転職や就職を考えるときに知りたいことは、それだけではありません。
どんな人が働いているのか。実際にはどんな一日を過ごすのか。未経験でも仕事を覚えられるのか。忙しい時期はいつなのか。残業はどの程度あるのか。社内はどんな雰囲気なのか。どんな人がこの会社に合っていて、逆にどんな人には合わないのか。
こうした情報まで分からないと、「興味はあるけれど、応募するほど判断材料がない」という状態になります。
求人票だけでは、働くイメージまでは伝わりにくい
企業側からすると、求人票には必要なことを書いているつもりでも、求職者が知りたいこととは少し違う場合があります。
たとえば「営業職募集」と書かれていても、
新規営業と既存営業はどちらが多いのか。
電話営業はあるのか。
一人で担当するのか、チームで動くのか。
目標はどのように設定されるのか。
入社して最初の1か月は何をするのか。
県外への出張はあるのか。
営業経験がなくても応募できるのか。
こうしたことが分からなければ、仕事内容を具体的に想像できません。
企業にとっては当たり前すぎて、わざわざ書いていない情報もあります。
しかし、初めてその会社を見る人には、その「当たり前」がありません。
これは採用に限らず、企業の情報発信で起こりやすいことです。
会社をよく知っている人と、初めて見る人では、持っている前提情報がまったく違います。
情報を増やす目的は、会社を良く見せることではない
採用情報を充実させるというと、「会社の魅力をもっと発信する」という話になりがちです。
それも必要ですが、情報を増やす目的はそれだけではありません。
むしろ重要なのは、応募する前に、求職者自身が自分に合う会社なのかを判断できるようにすることです。
たとえば、
「繁忙期には残業が増えることがあります」
「仕事の性質上、○○が苦手な方には合わない可能性があります」
「入社直後から一人で仕事を任せることはありません」
「接客より、一人で集中して作業する時間の方が長い仕事です」
といった情報も判断材料になります。
企業にとって都合のよいことだけを並べるより、働くうえで実際に知っておいた方がよいことまで説明されている方が、求職者は自分との相性を考えられます。
応募数だけを最大化するのであれば、情報を出しすぎない方がよい場合もあるかもしれません。
しかし、採用後のミスマッチまで考えるのであれば、応募前の判断材料を増やすことには意味があります。
「応募しないと分からない」が、応募のハードルになっている
採用では、かなり重要な情報が面接まで分からないことがあります。
求人を見る。
会社のWebサイトを見る。
それでも分からない。
詳しく知るには応募するしかない。
しかし求職者にとって「応募」は、単なる情報収集ではありません。
履歴書や職務経歴書を用意する必要があり、企業とのやり取りも始まります。面接の日程も調整します。
まだ「少し気になる」程度の会社について、そこまで進むのは負担があります。
企業へ電話して、
「職場の雰囲気はどうですか?」
「未経験でも本当に大丈夫ですか?」
「子どもがいるのですが、急な休みには対応できますか?」
と聞くことにも心理的なハードルがあります。
だから、疑問があっても質問せず、そのまま候補から外してしまう人がいても不思議ではありません。
企業側から見ると、この人たちは問い合わせにも応募にも現れないため、存在を把握できません。
応募者が少ない理由が、仕事そのものへの興味の低さなのか、判断するための情報不足なのかも分からない。
ここは採用情報を考えるうえで重要な問題です。
採用ページを一度作って終わりにしない
もちろん、採用サイトや採用ページを詳しく作る方法もあります。
ただ、実際に求職者が何を知りたいのかを最初からすべて予測することは難しいものです。
そこで、最初に基本的な情報を整えたうえで、実際に聞かれたことを追加していく方法があります。
たとえば面接で、
「入社後の研修について詳しく知りたい」
と何度も聞かれるのであれば、研修についての説明を追加する。
「有給休暇は取りやすいですか?」
という質問が多ければ、制度があることだけでなく、実際の運用について説明する。
「どんな服装で働いていますか?」
と聞かれたなら、それもこれから応募する人には必要な情報かもしれません。
一見すると細かな質問でも、同じことを知りたい人はほかにもいる可能性があります。
一人から聞かれたことを、その人だけへの回答で終わらせない。
情報として残しておけば、次に検討する人は応募する前に確認できます。
AI窓口があると「まだ応募するほどではない質問」も聞ける
ここでAIOHubのAI窓口も活用できます。
採用について十分な情報を登録しておけば、求職者が公開ページから質問できます。
たとえば、
「未経験ですが応募できますか?」
「30代から入社した人はいますか?」
「子育てしながら働く場合、勤務時間について相談できますか?」
「営業職と事務職で迷っています。仕事内容の違いを教えてください」
「この経験なら、どの職種が近そうですか?」
といった質問です。
回答の根拠になる情報がAIOHubにあれば、AIが登録された内容を使って説明できます。
これは人事担当者をAIに置き換えるという話ではありません。
採用条件の最終判断や、個人ごとの採否、個別事情を踏まえた判断などは、人が行うべきものです。
AI窓口が役立つのは、その前段階です。
「応募するかどうかを考えるために、もう少し知りたい」という段階の情報収集をしやすくします。
質問されることで、企業側も採用情報の不足に気づける
AI窓口を置く意味は、質問に回答することだけではありません。
どんな質問をされたのかを見ることで、企業側も求職者が何を気にしているのかを知ることができます。
企業は仕事内容を詳しく説明することが重要だと思っていたのに、実際には、
「未経験でも大丈夫なのか」
という質問が多いかもしれません。
福利厚生を詳しく掲載していたのに、
「職場ではどんな人と一緒に働くのか」
を知りたがる人が多いかもしれません。
あるいは、
「県外から転職した場合、生活はどうなりますか?」
という、企業側では想定していなかった質問が出てくることも考えられます。
そこで初めて、
「自分たちは、このことを説明していなかった」
と分かります。
必要であれば、その回答を新しい採用情報として追加します。
すると次の求職者は、その情報も含めて会社を検討できます。
この繰り返しによって、企業が想像だけで採用ページを作るのではなく、実際の求職者の疑問をもとに採用情報を充実させていくことができます。
地方企業の採用では、特に情報量が重要になる
高知のような地方では、この問題はさらに重要だと考えています。
都市部から高知への転職を考えている人であれば、判断しなければならないのは仕事だけではありません。
どんな地域なのか。車は必要なのか。どのあたりから通勤している人が多いのか。県外出身者はいるのか。給与だけでなく生活費を含めるとどうなのか。家族で移住して働くことは現実的なのか。
もちろん、すべてを一企業が説明する必要はありません。
しかし、県外からの採用を本気で考えるのであれば、求職者が抱える不確実性は、地域内で転職する人より大きくなります。
その状態で求人票に、
「高知県高知市/正社員/月給○万円」
とだけ書かれていても、人生を動かす判断は簡単にはできません。
逆に、会社について詳しく知ることができ、働き方や人、仕事、地域での生活まである程度想像できれば、「高知の知らない会社」から「自分が働く可能性を具体的に検討できる会社」へ変わります。
地方企業にとって採用情報を増やすことは、単なる採用広報ではなく、距離による情報格差を小さくする意味もあります。
情報を増やすと、応募者を増やすだけでなく「合う人に選んでもらう」ことにつながる
採用では、応募数が分かりやすい数字として見られます。
しかし本来必要なのは、できるだけ多くの人に応募してもらうことだけではありません。
仕事内容を理解している。
会社の考え方を理解している。
働き方について納得している。
それでも「ここで働いてみたい」と思った人に応募してもらうことも重要です。
そのためには、会社側も判断材料を出す必要があります。
良いところだけでなく、実際の仕事内容や条件、向いている人、仕事の難しさなども含めて説明する。
求職者はそれを読んで、自分なりに判断する。
分からないことがあればAI窓口で聞く。
それでも興味があれば応募する。
企業が選考する前に、求職者側にも十分に検討してもらう。
情報基盤を採用に使う価値は、ここにもあります。
採用情報も、会社が持つ情報資産の一部になる
採用活動のたびに、
「求人票に何を書こう」
「採用ページを作ろう」
「SNSで社員紹介をしよう」
とゼロから発信を考える必要はありません。
仕事内容、働き方、教育、会社の考え方、社員について、キャリア、よくある質問などを普段から情報として蓄積しておけば、それらは次の採用活動でも使えます。
求人媒体へ掲載するときの元情報にもなる。採用ページを作るときにも使える。SNSで発信するときにも使える。面接前の候補者へURLを送ることもできる。AIも質問への回答に利用できる。
採用が始まったときだけ慌てて会社を説明するのではなく、普段から「この会社で働くことを判断するための情報」を持っておく。
AIOHubでは、商品を買う人に必要な情報だけでなく、働くことを検討する人に必要な情報も、同じ会社の情報基盤として蓄積できます。
企業について知りたい理由は、人によって違います。
商品を買いたい人もいれば、取引したい人もいる。働きたい人もいる。
だからこそ、会社概要だけではなく、それぞれの人が自分の目的から十分に検討できる情報を持っておく。
情報を増やすことは、会社を大きく見せるためではありません。
相手が、問い合わせや応募をする前に、自分で納得できるところまで検討できるようにするためです。
採用においても、それは企業と求職者の双方にとって重要な情報の役割だと考えています。
